こんにちは、キムチ

あなたも作ろう、美味しいキムチ!

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キムチ大好きな人って多いですよね?
私もその一人なんですが、なかなか美味しいものに巡り合えません。
20数年前に蕎麦好きが嵩じて、蕎麦打ちをはじめたように、
今回はキムチ作りにチャレンジしました。
作ってみて分ったんですが、凄く美味しいんですよ!
白菜キムチの簡単で美味しい私流の漬け方を公開します。
いわば初心者の、初心者による、初心者のためのキムチ講座です。

私流のキムチ作りは、複雑な行程をルーティーン化し、勘による目分量を、数字で表わして目方で管理する方式です。まずルーティーンを理解していただく必要がありますが、これさえ掴めば、楽しく、そして確実に美味しくできると信じています。巧くいったというお礼のメッセージもいただいていますので、自信を持って取り組んでください。

白菜の大きさは季節や産地によりまちまちです。株を基準にはできませんから、塩漬け前の白菜の目方を基準にして、ヤンニョム・ジャン、ダシ汁、具1(大根とニンジンの千切り)、具2(葉の野菜)に分け、白菜1キログラム当たりのそれぞれの量を150グラムと決めました。初心者でも確実に美味しいキムチが漬けられる秘密は、ここにあります。




ヤンニョム・ジャンを作ろう

ヤンニョム(薬念)がキムチの決め手ですが、難しく考えるとここでつまづきます。韓国では、最初に述べた「ヤンニョム・ジャン、ダシ汁、具1(大根とニンジンの千切り)、具2(葉の野菜)」を合わせたもの、つまり白菜キムチなら白菜以外のものを「ヤンニョム」と言います。ここではヤンニョムを、ジャン、ダシ汁、具1、具2に分けてます。なおヤンニョム・ジャンというのは私の造語ですから、書物やウェブページなどでは使われていないと思います。



計量は必ず目方で行います。粉末をメジャーカップで量るなんてことはしないでくださいね。ちなみに私は、ヤンニョム作りの正確なデータをとるために下の写真にあるデジタル秤を購入して愛用していますが、そんなに神経質にやる必要はありませんが、次回の味の調整のために、使った材料の名前と量を記録しておく必要はあります。




とうがらしの粉のホコリを吸うとえらいことになるので、ヤンニョム作りは必ずマスクをして作業します。以上をボールに入れ、シャモジなどで外から中へとていねいに練ってペースト状にし、ポリ袋などに入れて冷凍保存します。冷凍してもカチンカチンにはなりませんし、乳酸菌も死にません。必要なときに必要な量が使えるので、材料を入手したときにこの比率でまとめて作って、保存しておくと便利です。この分量で、白菜4キログラムが漬けられますから、白菜1キログラムに必要なヤンニョム・ジャンは約150グラムが基準になります。

好みで辛さを控える場合は、細かい粉末のとうがらしを増やして粗い粉末のほうを減らすと共に、ヨーグルトやおかゆをを多めにするといいでしょう。辛さを強めたい場合は、粗い粉末のとうがらしを増やしても構いませんし、国産の一味とうがらしを少量加えるという方法もあります。でも辛すぎると飽きますよ。

老婆心まで、ヤンニョム作りのデータはマメに記録しておいてください。何を増やして何を減らすかで自分の味を作り出していけます。Taste differs! 私の味があなたの味と違っても、美味しさは一つです。

ヤンニョムの材料
勢ぞろいしたヤンニョムの材料 マグカップにはヨーグルト、ポリ袋にはアミが入ってます


ヤンニョム・ジャン
出来上がったヤンニョム・ジャン


 

ダシをとろう

カツオ節、ソウダ節、サバ節、煮干しなど、何でもよい。水1リットルにダシの節など50〜70gと旨味調味料(グルタミンソーダ)少々を入れて酢を5〜10ccほど加えてから強火で煮て、沸騰したら弱火にして30分程度煮出します。熱いうちにキッチンペーパーやコーヒードリッパーなどで漉し、あらかじめ温めておいたびんなどに移して密封し、冷ましてから冷蔵庫に保存しておきます。昆布と鰹節で本格的なダシをとったとしても、ヤンニョムの味は変わりません、と言うか、私には区別できません。

それでもダシ取りが面倒なら、適量の市販の顆粒のダシの素を水に入れて、好みでオイスターソースを少量加えて、一旦沸騰させてから冷やして保存しても、キムチの味はほとんど変らずに仕上がります。手を抜けるところでは、手を抜いて、作業効率を上げましょう。



 

具を準備しよう

をつけた大根、ワケギ、セリだけでも十分美味しくできます。セリは季節以外は入手できませんが、三つ葉、大根っ葉、クレソンなどと置き換えてもいいでしょう。下のものは、白菜3〜4キログラム分ですから、漬ける白菜の量に応じて、大雑把に増減します。白菜1キログラムに対して、具にする野菜を、千切り150グラム、葉っぱの野菜150グラムとすることを目安にしますが、多くても差しつかえありません。


具材
漬け込み直前の白菜と具材






 

ジャンと具とダシ汁を合わせよう

ジャンとダシを目方で等量合わせたものが、日本で一般的に言われるヤンニョムです。「キムチの素」的な商品がありますが、似て非なるものです。白菜の目方によって、ヤンニョム・ジャンや塩や具にする野菜の使用量が決まってくるので、解凍する量を決めてから、作業にかかります。

まず大きめのボールにヤンニョム・ジャンを入れ、目方で計量してジャンと等量のダシを加えます。ここからゴム手袋をしますから、必要な材料の下ごしらえを済ませ、道具や入れ物は手近にそろえておく必要があります。ゴム手袋をして、丁寧に混ぜてください。

具材の大根やニンジンの千切りの塩出ししたものを一緒に混ぜると、作業が楽にできます。混ぜたら味見をして、白菜の塩味との兼ね合いで塩気が不足するようなら、塩を加えて味を調整してもいいでしょう。私の経験では、塩を補わないほうが味が整いやすいです。

ヤンニョムをジャンとダシと具材に別けずに、最初から一体に仕上げるのが普通の方法です。ただしそうすると、計量が面倒になりますし、ケチャップのようなヤンニョムが余ったときの保存が面倒になります。営業でやるなら別ですが、私たち素人は、ペースト状のジャンにするほうが、使い勝手の点でも保存性の点でも、何かと便利です。ムダや無理の無い方法で、末長くお楽しみください。




 

白菜の下拵えをしよう




白菜の不要の葉を取ってから、全体の目方を量ってメモしておきます。下のほうから茎の部分に包丁を7〜8センチほど入れ、手でほぐすようにして左右に2つに裂きます。こうすると葉の傷みがあまりありません。同じようにしてさらに2つに裂きます。最初に十文字に切れ目を入れると、ばらつきが大きくなりがちです。

白菜を半分に   それをまた半分に     
半分に裂いて、      さらに半分にして葉を間引きます

白菜の目方の4パーセントの粗塩を量り、白菜の切り株の数の小皿に分割します。もっと大雑把でもいいですから、最低元の白菜の株の数の皿に別けておくと案分しやすくなります。私は株の数の皿に別けています。白菜の葉の間の白い部分にだけ塩を振ります。葉の部分には塩を振りません。葉の間をと考え過ぎると、無理をして開いて葉を傷めますから、どうしても上手く行かない分は白い部分の切り口に擦り付ければばいいでしょう。



45〜60リットルの漬け物桶に、塩をした白菜を同じ向きに4列に並べ、2段めは葉の上に白い部分が来るように4列に並べ、中蓋をして重石を乗せます。重石は白菜と同じ目方か少し重いものがいいようです。



この状態で、屋外のいちばん涼しいところに一昼夜(夏季12時間〜冬期48時間が目安)放置します。風の強い日には、蓋を飛ばされないように注意しましょう。(とは言え我が家では、気温の高い季節でも台所の隅に放っておきますが、別に問題はありません。表で朝日に当たって暖まると、酸味が早く来る結果になりますからご注意ください。とは言え、神経質になり過ぎないでください。)

白菜をあらかじめ4%の塩水に漬ける人もいます。葉っぱがしんなりして、開きやすくなるからですが、この場合、食塩の効き具合が微妙になります。キャベツなどは塩水でないと上手くいきませんが、白菜は塩を振る方法で下拵えをするようお薦めします。どうしても塩水に漬けたい場合は、ハクサイの目方を水に換算して水の量に加え、その4パーセント以内の粗塩を加えるようにします。

適当な時間が経過したら、漬け物桶から出して上下を入れ替えると、全体に塩が行き渡ります。が、けっこう面倒なので、私は省略しています。そこまで木を使う余裕のある人はぜひやってみてください。

落とし蓋の上に1〜2センチほど水が上がったら塩漬けは完了です。塩漬けした白菜を流水で洗います。特に葉の間に水を通して表面の塩水を洗い流して、大きなボールやざるに並べて水を切ります。この段階で不要な葉を整理しながら味見をして、万一塩っぱいようでしたら水に漬けて塩出しをし、塩分が不足すると思ったらヤンニョムに塩を少し加えて調整します。ざるに並べるときは、最初は茎の部分を下にし、ある程度水がきれたところで、上下を入れ変えると短時間で水切りができます。と言っても3〜4時間はかかりますが。

    水が上がった       水切りをする 
塩漬けして水が重石まで上がったところで         水洗いして水切りをします   





白菜を漬け込もう

いよいよ具とヤンニョム・ジャンとダシ汁を合わせてヤンニョムにし、白菜を漬け込みます。手順よく漬け込むようにイメージして、道具と材料を手近に揃えましょう。白菜をのせるためのバット、ダシ汁、ヤンニョムを具と混ぜるボール、漬けたものを入れる容器、あちこちに残ったヤンニョムをこそぎ落とすへら、間引いた葉や大根の端っぱなどの他、タオルエプロンゴム手袋をお忘れなく。

お膳立てが整ったら大きめののボールに、それぞれ同じ目方のヤンニョム・ジャンとダシ汁、大根とニンジンの千切りの絞ったものを入れ、薄くて使いやすいゴム手袋をして、握るようにしてよく混ぜます。続いて具の野菜を乗せ、片手で外側の下から内側の上へと持っていって、ザックリと混ぜます。もう一方の手は、万一に備えてなるべく汚さないでおきましょう。こうして混ぜたものを韓国ではヤンニョムと言います。ヤンニョムが出来上がったら、二つか四つに大雑把に山にして別けておくと、案分しやすくなります。

バットに白菜を一つ乗せ、白菜の白い部分だけに、具と合わせたヤンニョムを挟み込みます。このとき、一番外側の葉と2枚めとの間には何も挟みません。手袋についたヤンニョムを茎の根元から葉の柔らかいところへと軽く拭うようにして、空気を押し出していきます。次々に新しく具を摘んで入れていきます。葉の柔らかいところには挟みません。塩の振り方と同じ原理ですね?

巧く案分すれば、大量に残ることはありませんが、万一余ったら、ポリ袋に入れて冷凍保存し、キムチ鍋に使ったらいかがでしょう?カクテキを漬けるのもお薦めです。

ヤンニョムを挟む  手袋で拭う
葉の白いところに挟み込み         手袋で拭うようにします

最後に葉を茎の方に折り込むようにしてから、一番外側の葉を90度回して包み込みます。つまり外側の葉で包んでキムチを玉にするわけです。玉にしたら、大なシールパックなどに次々と入れていきます。入れ終わったら上から押して、空気を抜いてから蓋をしっかり閉めて、一番寒いところで一晩静かに寝かせておきます。(もっともこのプロセスは、省略可能です。私はこのプロセスを省略して、ただちにポリ袋に詰めて空気を押し出して口を締め、冬は3〜4日放置してから、夏最盛期には半日ほど放置してから、冷蔵庫へ入れています。)

折り込むようにして    外側の葉を90度回し    玉にする
折り込むようにして、     一番外側の葉を90度回して       玉にします   

最初にポリ袋に入れた場合は不要な作業になりますが、翌日、もう一度手袋をして、玉を一つずつ密閉容器やポリ袋に移します。空気を抜きやすいこと、冷蔵庫に保存しやすいこと、いちいちゴム手袋をしないでハサミで切ることができるなど、大変便利になるからです。保存に問題が無ければ、大きな容器のままでも差し支えありません。

こうして保存すれば、漬け込んでから夏は4日ほど、冬は7日ほどで食べごろになります。好みや季節にもよりますが、2週間は待ちたいですね?韓国のサムスングから、保存期間に合わせた温度の引き出しのついた冷凍冷蔵庫があり、早期熟成や長期保存に活用されているそうです。さすがにキムチの母国ですね?

塩漬けした白菜をあらかじめ適当な大きさに切ってから、ヤンニョムを具と合わせて漬け込む方法もあります。食べるとき楽だからということでしょうが、葉の薄い部分にばかり味がしみて、肝心の白い部分が若いままになります。熟成にむらができて、美味しく楽しむことができません。できるだけここで述べた方法や、韓国や専門店で一般的な方法でやってください。




流れをイメージしよう

白菜キムチを漬ける流れをイメージしておくと、手順が狂わずに作業できます。私のやり方では、まずヤンニョム・ジャンとダシを作って保存することが先行しています。そうすることで作業の手順がよくなるばかりか、保存性も増し、さらにヤンニョムの中の色々な成分がよく馴染むからです。

次にすることは白菜の入手と塩漬けです。季節によっては贅沢は言えませんが、丈が短い、寸詰まりで堅く締まったものを選びましょう。近くに農産物直売所があれば、具材と一緒に安価にゲットできます。白菜の大きさは、普通は1株2〜3キロです。慣れるまでは1株で試すのもいいでしょう。塩漬けをする漬け物桶は、45〜60リットルで、中蓋の付属しているものを用意します。
なお、下漬け直前の2株の年間通しての平均的な重さが約4キロであることから、ヤンニョム・ジャンを600グラムに小分けして冷凍保存しています。

白菜の塩漬けからヤンニョムで漬け込むまで、1日から3日かかります。この間に具を整えたり大根とニンジンの千切りをします。大根は塩の染み込みがいいので、あまり塩を振り過ぎないように、時間をかけ過ぎないようにしましょう。切った具を取りあえず入れる中ぐらいのボールがいくつか必要です。

水切り完了後、ヤンニョムを白菜に挟んで漬け込みます。その後で、バットやボールにこびりついたヤンニョムをこそぎ落としたり、出し汁で洗ったりして漬け込んだ白菜に加えます。漬け込みにはバットと大きなボールが必要です。ボールの直径は35センチ以上40センチほどのものがいいでしょう。漬けたばかりのキムチを寝かす大きなシールパックも忘れてはなりません。

保存には1000ミリリットル程度は入れられるシールパックと12号かそれより大きめのポリ袋も用意しておきましょう。なお私は手抜きをして、ヤンニョムで漬け込んだものを直接ポリ袋に入れています。空気を押し出すのも楽ですし、よけいな洗い物が出なくていいです。




ちょとしたヒント

一晩経ったキムチをパックやポリ袋に詰めるとき、袋の口を外側に折り返しておくとあまり汚れませんし、袋が作業台に立ちます。全部入れ終わったら手袋を外して、丁寧に中の空気を抜いてしっかり口を閉め、冷蔵庫に保存します。たくさんできますから、長期保存をするものはパーシャルなどの氷温室に、比較的早く消費するものは野菜室にと、別々に保存するとよいでしょう。発酵を促すためには、たまには冷蔵庫から出してやることも必要です。冷凍保存はしたことがないので、何とも言えません。ちなみに写真の大きなシールパックは100円ショップでゲットした直径27センチ、深さ13.5センチのものですが、大変使いいいです。

ポリ袋につめる
一晩経ったキムチをパックや袋に詰めます。袋の折り返しにご注意

ポリ袋からシールパックに移すときは、ポリ袋を半分裏返して、空のシールパックを逆さまにして上下を変えると手を汚さずにできます。シールパックの中でキムチを切り分けるには、ステンレス製の台所用のハサミで切るとまな板を使わなくて済みます。ハサミでシールパックを傷つけないようにしてください。韓国にはステンレス製のキムチ用のパックが売られていて、メル友さんからお土産にいただいて大変重宝しています。ハサミを入れてもツルっとして気持ちよく切れます。日本でも売ってればいいんですが...。

もう一つの方法は、左手にキムチの茎の部分を持って、右手の鋏で下に置いたシールパックに切り落とすというやり方です。この場合、少し手が汚れますが、確実に切れるという利点があります。私はふだん、この方法で切っていますが、写真には撮ってありません。自分流のやり方を見つけるといいですね?

キムチ専用パック  ハサミで切る 
    韓国土産のキムチ専用パック         気をつけながらハサミで切ります

漬け物桶やバットについたヤンニョムをこそぎ落とすには、ビデオテープのケースのプラスチック板で、三角定規の角を丸めたようなものや、剃刀のような形のものを作っておくと重宝します。写真を参考にして、簡単に作ってみてください。無くても差しつかえありませんが、多くの命の賜物のヤンニョムを無駄にしたくないですね?

ヘラ
ビデオテープのケースで作ったヘラ 割り箸にバスコーキングで接着しました

前後しますが、スライサーなどで大根を千切りにすると、端っぱが出ます。これを使って、パットやボールにこびりついたヤンニョムをこすり落として、カクテキキムチにします。実は大根の皮も、塩を振っておいてヤンニョムにつけると、パリっとして結構いける味になります。大根の葉っぱや白菜の間引きをしたものについても、できるだけ野菜を捨てないようにしましょう。

大根
大根のバラバラ事件 左から千切り、残りの端、大根の皮。みんな漬けて食べちゃいます!

問題は塩加減です。大根は塩の吸いがいいので、うっかりすると塩っぱくなります。塩で水出しをしてから、水で塩出しをするといいですし、ほんのちょっぴり砂糖を振っておくといっそう美味しくなります。大根は水分が多いので、塩をしておかないと酸味が出るのが早いです。酸っぱくなったものは、鍋の材料にするとまた格別です。





大根などに応用しよう

大根への応用は比較的簡単です。材料は大根と具にする野菜さえあれば、先に作ったヤンニョムのペーストとダシ汁でできます。

まず材料の大根を適当に切ります。厚さ1センチ前後、形と大きさは自由自在。不揃いなほうがヤンニョムが絡みやすくていいですね?目方を量ってメモしてからボールに移し、目方の4パーセントの粗塩をまぶして4〜6時間放置します。びっくりするほど水が出ます。味見をして塩分が多すぎるようなら水で塩出しをして、ちょうどよければそのままざるなどに広げて軽く水を切って漬け込みます。

もっとお薦めの方法があります。大根と同じ目方の水を量り、8パーセントとなるように計量して粗塩を加えます。このとき酢を少量加えることがコツです。この中に切った大根を入れて、4〜6時間放置します。ここからは全く同じになりますが、仕上がりのシコシコ感は評判がいいです。

具の量は大根1キロ当たり150グラム前後と大雑把で大丈夫です。市販のカクテキ・キムチには具材の入ってないものもあるぐらいです。私は三葉やセロリなどの葉と、ニンジンと大根の千切りを塩出しして使っています。大根の葉は緑と栄養をプラスするので望ましいんですが、八百屋さんでは葉っぱの無いものを売ってるんです。考えて欲しいですね?またその時の気分で、ニラやニンニクの芽を入れたりします。白菜を漬けるのとほぼ同じものが使えます。

ヤンニョム・ジャンとダシ汁の量は、白菜より少なめでも大丈夫です。大根1キロ当たり140グラム程度でしょう。ボールの中で大根にヤンニョムと具をからめて、保存用の容器に入れて空気を押し出せば完了です。容器の中で大根とヤンニョム・ジャンを混ぜても大丈夫です。場合によっては保存容器の中で混ぜ合わせても大丈夫です。ものすごく簡単ですが、案外いい味に仕上がります。決め手はしっかり作ったヤンニョムにあります。

キャベツのキムチは歯切れがよくて美味しいです。キャベツの葉を一枚ずつはがして、いちばん太い葉脈を取り除きます。歯の丈夫な人はそのままでも構いませんが...。大根のときと同じように、雑然と切ります。もっとも形の整えようがありませんが。切り上がったところで目方を計っておきます。

キャベツは塩水に漬けます。キャベツを容器に入れてヒタヒタになる程度の量を予測して水を計量します。これにキャベツの目方を加えた量の3〜4パーセントの粗塩を溶かし、6〜12時間漬けてから味見をして、大根と同じように漬け込みます。ヤンニョムの量と具材は大根と同じです。いずれの場合も、具を多くしたらヤンニョムもそれに応じて増やします。

意外と美味しくて季節感のあるものに筍のキムチがあります。筍はアク出しをしたものがスーパーなどで売られていますから、それを適当に切って、塩漬けをしないで漬け込みます。ヤンニョムの塩味だけでは物足りない場合は、大根の千切りの塩を多めにするか、ヤンニョムに粗塩を少々加えるといいでしょう。私は大根とニンジンの千切りの4パーセントの粗塩で漬けたものを水洗いせずに、そのまま搾って使っいます。評判も上々ですが、材料がやや高価なのが難点です。

どんな野菜のキムチの場合でも、最後に空気を抜いておくことが大切です。乳酸菌は好気性ですから、空気が入っていると活発に繁殖して、早くに酸味が来ます。小分けした場合でも、食べきるころには酸味が増しているということがままありますから、小分けの量を加減することも肝要です。なお好みは様々で、若いのが好きとか、熟して酸味のあるのが好みとか、色々ですね。熟し始まった頃が一番の好みだと言ったら、女の好みと一緒だろうとからかわれました。




調理のヒント

ヤンニョムは色々な食材に応用できます。ほんの一例をあげれば、スーパーで買ってきたタラコに塗って、冷蔵庫で1日熟成させれば、美味しい自家製のメンタイコの出来上がりです。鍋に入れても、冷ややっこに乗せても美味しいですね?ペースト状で保存しておけば、思いついたときにいつでもアイディアを実行に移せますから、食のレパートリーが広がります。それに安上がりですね?

美味しいキムチはどんなものにも合います。例えば揚げた餅に乗せて食べてご覧なさい。忘れられない味でしょう?納豆にキムチも最高です。納豆の香りが苦手という関西の人も、納豆キムチなら臭いがほとんど無く、美味しく食べられます。

ぶたキムチの作り方では、肉を炒めてからキムチを加えているようです。これを逆にすると、つまりフライパンにごま油をひいて、適当に切ったキムチを先に軽く炒めてから、豚肉を加えて炒めるという方法をお薦めします。ヤンニョムの中のアミという海老の香ばしい香りがいっそう引き立って、最高に旨いぶたキムチができます。

うどんに薬味を入れるように、キムチを薬味にすると美味しいです。うどんに合うんですから、もちろん蕎麦にも合います。ただし啜っちゃぁいけませんが...。もし合わなかったとしたら、もしキムチ鍋が美味しくなかったとしたら、ぶたキムチが不味いとしたら、それは買ったキムチのせいです。ニンニクぷんぷんでただ辛ければキムチだと誤解していて、韓国で「チョッ」と呼ぶ塩辛を控えるか入れない生産者がいるのも事実ですから。キムチ本来の味は、調和のとれた素材の持ち味が、発酵によってさらに広くて深くなっているはずのものです。自家製の白菜キムチの原価は、贅沢に作っても100グラム当たりせいぜい50円です。さぁ、あなたも、安くて美味しいキムチ作りにチャレンジしてはいかがでしょうか?





特別なキムチ鍋

我が家を訪れた全ての人が「これは旨い!」と太鼓判を押すキムチ鍋があります。若い友人に教えてもらって以来、我が家の冬の定番になっています。数年前に年賀に来た甥一家の8人に振る舞ったのですが、何と小学生3人がおかわりをして食べました。下のレシピを参考に、ご自分の我が家の味に作り替えてください。なおここでは市販の顆粒のだしの素を使っていますが、鰹節でだしを取るとさらに美味しくなります。

これまで述べた計量の原則と異なり、量はすべて適量です。調理とは、アナログ作業だとご理解ください。

固形と粉末の調味材料を混ぜ合わせて、ヤンニョム・ジャンが液体に溶けやすくなってから水と醤油を混ぜる。

タラの切り身は予め熱湯をくぐらせて表面を引き締めておくと煮崩れせず、味も程々に残ります。普通の鍋物とは、タラを真っ先にするところが異なります。調味材料を合わせたものに、上の順にハンペン以外の具材を入れて煮る。頃合いを見て蓋を取り、全体に火が通っていたらハンペンを乗せて再び蓋をして数分煮れば出来上がり。

なおハンペンや竹輪などの練り物は、あまり安価なものは避けたほうが良いようです。安いハンペンは煮ると縮まって蒲鉾になってしまうし、竹輪も同様です。




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2002.2.22 初回掲載
2002.12.23 転載
2004.7.23 一部体裁を改良
2008.8.20 キムチ鍋を加筆、体裁を改良