黒猫シャノワールの由来

黒猫とシャノワールというハンドルは、
フランス語の chatnoir(シャノワール = 黒猫)からとったものです。
英文のページでは Chatnoir としていますが、
ポーの小説『黒猫』とは関係ありません。
そんな訳で、黒猫という名前の由来の紹介です。


何年か前の事ですが、外仕事を終えてレンガ蔵の前に差し掛かったとき、一匹のまっ黒な野良猫が摺りよってきました。そもそも野良猫は人間嫌いのはずですから、きっと訳があるんだろうなと思って聞いてみました。

倉庫の中にお前さんの子供が居るんじゃないの?
ニャー。
じゃぁ今開けてやるよ。
ニャー。

倉庫の中には本当に子猫がいました。それも4匹。母猫というのは、普通は人が近付いただけでフーッと威嚇するものですが、彼女はそれも忘れて子猫達の所へ跳んでいきました。よほどひもじい思いをさせていたのでしょうか、私のことなぞ知らんぷりです。こうして彼女のために倉庫の戸を時おり開け閉めしてやる日々が続きました。

何日か経ったある日のことす。草花に水やりをしていた女房どのが、「恋人の面会だわよ」と妙なことを言うじゃないですか。不審に思って見やると、窓の外で手招きします。覗いてみると、あの母さん猫が私のほうを向いて「ニャー」と声をかけてきました。

そうか開けて欲しいのか?
ニャー。
エッ、そうじゃないのか?
ニャー。

何ごとか起こったのかと外に出ると、彼女は先にたって倉庫のほうへと歩いていきます。倉庫に近づくと、彼女は突然立ち止まると、振り向いてひと言「ニャー」と言って、どこかへ去っていきました。倉庫には子猫たちの姿がありません。私にはやっと飲み込めました。彼女は子供たちが巣立ったという報告がてら、私にお礼を言いに来たんだということが。

実のところ、私はそれまで猫が好きではありませんでした。それなのにあの真っ黒な野良猫の母さんは、子育てのためには猫嫌いの私を動かすことができたのです。たかが野良猫でさえ、自分の意志を伝えることができたのです。私たち人間に出来ないはずがありません。この出来事以来猫好きになり、インターネットで発信するようになってからは、彼女にちなんで自らを黒猫またはシャノワールと呼び、欧文では Chatnoir と称することにしました。このサイトは、彼女と出会ったレンガ蔵をテーマにしています。

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黒猫シャノワール :